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おわりに

 

行政相談活動を通じてみた今後の課題

 

(1)災害時における緊急体制の構築

 

ア.震災等大規模災害時における相談窓口体制の整備
すでに震災等大規模災害時における相談窓口体制については、平成7年7月の『防災基本計画』の全面的な改定により、災害応急対策の一環として住民等からの問い合わせ等に対する適切な対応措置を講ずることとされ、具体的には総合的な相談窓等を設置するものとされた。
この防災基本計画の趣旨を踏まえ、平成7年12月25日、各省庁行政苦情相談連絡協議会及び特殊法人等苦情相談連絡協議会において、被災地の現地機関における迅速かつ円滑な相談窓口の設置及び効果的な運営並びに被災者からの相談、問い合わせ等への的確な対応を図ることを目的に、震災等大規模災害時における相談窓口体制について、その整備及び運営についての申合せをそれぞれ行った。
そして各管区行政監察局及び支局、また各行政監察事務所単位で、それぞれの局所ごとに震災等大規模災害時における相談窓口体制についての申合せが行われている。
なお、特徴的なことは、実態を踏まえて、この申合せに参加したのは、管内の各省庁の地方支分部局、特殊法人等の支店・支社や、県庁と警察本部、指定都市等の地方公共団体といった公的機関に止まらず、民間団体である司法書士会、土地家屋調査士会、建築士事務所協会、宅地建物取引業協会、法律扶助協会あるいは弁護士会なども含まれ、総力を挙げて被災者の面倒を見ることが計画されていることである。
このようにして震災等大規模災害時における相談窓口体制については、着々と整備されはじめているが、当面は申合せでよいとしても、今後の問題として、法令等で規定したほうがより望ましいのではないかという点が残っている。

 

ともあれ、震災等大規模災害時における相談窓口体制の整備のために、まず最初に考えなければいけないことは、当然のことながら、平常時の行政相談窓口体制が十分に整備されているかどうかについてである。平常時の体制が不十分であっては、大規模災害が発生した時はじめて、申合せ通りの特別総合行政相談所を設置したとしても、その運営が十分にできるのか、すぐに十分に連携できるのかは問題であるといえよう。従って普段から連携して様々な相談活動を進めることが重要である。そうでなければ、大規模災害時の対応が泥縄になってしまう恐れは大であると言わざるをえない。
得てして、申合せさえ行えば、申合せ通りの対応がいつでも完全にできるという甘い考

 

 

 

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